沖縄の伝統行事ムーチーとは

 

旧暦の12月8日が近づくと、県内のスーパーには月桃の葉やもち粉、
芋フレークなどの材料を陳列したコーナーができあがります。
2016年の今年は1月17日(日)にあたります。

園児達にムーチー作りを体験させる保育園や幼稚園も多く存在し、
普段は旧暦行事に関心がなくても、ムーチーだけは「我が子のため、孫のため」と、
家庭でムーチーを作ったり、あるいは市販のムーチーを買って配るなど、
出来る範囲でムーチーに参加している人も多いものです。

そういった意味では、ムーチーは、現代では珍しく老若男女問わず
今も広く親しまれている旧暦行事の一つだと思います。

 

沖縄の伝統行事ムーチーとはなに?

ムーチーとは、漢字で「鬼餅」と書き、「餅」の沖縄の方言です。
正しくは「鬼餅(ウニムーチー)」と呼ぶようです。
また、餅を葉で巻くことから「カーサ(葉)ムーチー」とも呼ばれます。

 

このムーチーは、沖縄では、旧暦の12月8日は
「ムーチーの日」といって、仏壇、神棚などに供え、
家族の無病息災、健康長寿、厄払いをするために食べるのです。

子供は、年の数だけ部屋に吊すといいます。
旧暦の12月8日は、現在は、1月下旬から2月上旬になります。

 

沖縄では毎年1月下旬から2月上旬ころ
(旧暦12月8日、ムーチーの行事が行われるころ)は沖縄では最も寒い時期にあたり、
年最低気温が観測されることが多いところから
このころの寒気を『ムーチービーサー(鬼餅寒)』と呼びます。

冬に暑い日が続いても不思議なことにこのころは本当に寒くなってしまうんですよ。
(現に「暖冬」な年末年始でしたが、ここ数日ぐっと冷え込んでます)
こんなことを言った昔の人ってスゴイなぁって感心してしまいます。

ムーチーは、毎年、冬の到来を告げる風物詩になっています。

 

ムーチーは、水を加えて練った餅粉を、平たく長方形の形にして、
月桃(げっとう、沖縄ではサンニンと呼ぶ)の葉に包んで蒸したものです。

沖縄のお餅は、杵などでつかないで、粉を手でこねこね練って
蒸して作るのが特徴ですね。

ムーチーには主に3種類あり、
白糖味の白餅、黒糖味の黒糖餅、紅芋味の紅芋餅の3つの味も楽しめます。

ムーチーの味は月桃の葉の香りが独特で、ほのかな餅の甘みがからみ合い
素朴で、どこか味わいのなる、なつかしくなるような感じです^^

 

子どもが生まれて最初のムーチーは「初(ハチ)ムーチー」と呼び、
親戚や隣近所にムーチーを配るという習慣があります。

これは「多くの人の慈愛を受けて、この子が健やかに育ちますように」
との思いが込められています。

また、ムーチーを子どもの年の数だけ紐でつなげて軒下や大黒柱に吊るす
「提げ(サギ)ムーチー」は、その子の健康を願うもので、
好きな時に抜き取って食べよいとされています。

 

他にも、最近はあまり見かけなくなりましたが、
蒲葵(クバ)の葉で包んだ「力(チカラ)ムーチー」があり、
これは家の安泰と健康を祈願し、男の子にだけ特別に作るというもの。
ムーチーはまさに子どものための行事と言えます。

ウチのおばあちゃんは毎回作ってるんですが
クバの葉でなく、普通に月桃の葉で作ってます(笑)。
このあたりも沖縄的ですね:^^

冒頭の写真の赤い紐で結ばれているものが「チカラムーチー」と言って、
「男性が食べるものだから」と話していました。

 

 

ムーチーの中身

葉をむくとこんな感じ。

 

ムーチーの由来

そのムーチーの由来を調べていましたところ、
沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のお話しがありましたので、
それをご紹介させていただきますね。

 


 

■鬼餅(ウニムーチー)の由来 【大里村】

昔、首里金城に妹と兄がいました。
兄はひょんなことから大里村に移り住みました。
その兄が、夜な夜な村を襲いにわとりや山羊、牛を盗み、時には人間までも食べる
「大里鬼」になって、洞窟に住みついているという噂が広まりました。

妹は実否を確かめようと思い、大里の洞窟に行きました。

「兄さん、妹です。」と、妹は洞窟の前で大きな声で叫びました。

どうやら、兄である鬼は外に出ていて留守のようです。
そこで、妹は洞窟の中に入っていくと、思わず鼻をつく悪臭がプンプンしました。
洞窟の中には、牛や山羊の骨が散乱しており、噂通り兄が鬼となって村の牛や山羊を襲い、
食べていると悟り、怖くなって帰ろうと外へ出た所に鬼となった兄が帰ってきました。
見ると、兄は筋肉隆々で、口は裂け牙がむき出し目は爛々と輝き、
赤黒い毛に覆われた鬼の姿になっていました。

SPONSORED LINK

妹は反射的に逃げようとしましたが、
「妹か、何故逃げるのだ。一緒に肉でも食べよう」と鬼となった兄に襟元を捕まえられ、
洞窟の中のほうへ引っ張られました。

妹はとっさに「兄さん、それではちょっと待って下さい外で用をたしてきますから」
と言いましたが、鬼は逃げられるのを警戒して「ここでやれ」と言いました。

しかし、妹はいくら兄妹でも兄の前ではできないというので納得し
鬼はその代わりに妹の手首に縄紐(なわひも)を結びつけました。
妹はすぐ外に出て、用をたすふりをして縄紐をほどき、その縄紐を木に縛り、
一生懸命逃げました。

洞窟の中にいた鬼は、「遅いな。何しているのかなあ。」と外にでました。
縄紐が解き、妹が逃げていることがわかると「おい、こらー、待て!」と叫びながら
妹の後を追いかけましたが妹はすでに逃げていませんでした。

数日して鬼は、今日は恨みをはらし食べてやろうと、
首里金城の妹の家へやってきました。

一方、妹の方は、鬼を退治しようと考えて、自分の餅はあたりまえの餅をつくり、
鬼の兄に食べさせる餅は、中に鉄を入れ、どんな鬼でも食べられないように作った
鉄餅を準備して待っていました。

「兄さんこの間はすみません。今日はお詫びにおいしい餅をたくさん召し上がって下さい。
いっしょに外の景色を見ながら食べましょう。」と、妹は言葉巧みに誘い出し、
崖の近くまでおびき寄せました。

妹は、「さあ、どうぞ召し上がって下さい。」と鉄餅を鬼になった兄に差し出しました。
そして、妹はとてもおいしそうに自分の餅を食べてみせました。

ところが、鉄餅を口に入れた鬼の兄はそれが噛み切れないで困っていました。
鬼の兄でも食べ切れない餅を妹がおいしそうに食べているのを見て、
鬼は妹の口の頑丈さにびっくりしていたところ、餅を食べあぐみながら
妹のホー(陰部)を見つけた鬼はいぶかって、「お前の下の口は一体なんだ?」と尋ねました。
すると、妹は機転をきかして、「上の口は餅を食べる口。下の口は鬼をかみ殺す口です。」
と言ったかと思うと、妹は着物をまくりあげて、下をあからさまにして鬼である兄に迫りました。

びっくりした鬼はふいをつかれた思いで飛び上がるや、足を踏み外して崖下に転落してしまい
死んでしまいました。

首里金城町の御嶽(ウタキ:拝所)に死んだ鬼の角を葬っており、
そこはホーハイウタキと呼ばれて鬼餅伝説の拝所と知られているとのことです。

この鬼を退治したのが旧暦の12月8日なので、沖縄ではその日を厄払いの日として
鬼餅(ウニムーチー)を作って食べるようになったということです。

また、その年子供の生まれた家庭では、生まれた子供の健康を願って
普通の餅より大きい「力餅(チカラムーチー)」を作って食べる風習もありました。


 

 

以上が「ムーチー」の言い伝えです。

若干驚いた内容でもありましたが・・・。

ムーチーを包む葉「月桃」

ムーチーを包む月桃(げっとう)の葉とはショウガ科ハナミョウガ属の多年草で、
沖縄では、普通に見られます。
日本では、九州、屋久島、種子島など暖かいところで見られます。

このムーチーを包む月桃の葉は、
ポリフェノールがなんと赤ワインの34倍も含まれて
抗酸化作用もすごく注目されています。

また月桃の独特な香りは、防虫、防菌、防カビの効果があり
虫除け剤・カビ除けとして使用されてきました。

そんなことから、ムーチーが痛まないようにその葉で包んだのでしょう。

日本本土では、「草もち」というの物があって、
『ハーブの女王』と呼ばれるよもぎの葉を使って作るものとその効果や効能が似てますね。

ムーチーの種は、咳止め、整腸効果があり、漢方薬として利用されました。
沖縄の風習文化には、欠かせないものなんです。

これまた登場、私のおばあちゃんいわく
「バナナの葉や月桃の葉でおにぎり包んだよ~」
と。
月桃の香りのするおにぎりもオツですよ。

 

ムーチーは月桃で包まれています。

 

小さい頃から身近にあるサンニンの葉に包んだムーチーの香り。

あんまりいっぱいは食べることはできませんが、
手にくっつくむちゃむちゃ感などはこの時期ならではのものでした。

沖縄では殺菌効果のある月桃を昔から愛用していたのは
知ってか知らずか・・というところが「先人の智恵」なのでしょうね。

地域の保育園や学校単位でムーチーを作ることも多いのですが、
子供達の作るムーチーはまた格別♪

 

うちのコも、その当時はすごく得意げに
「母さんにお土産~♪ 俺がつくった!!」
という顔で手のひらサイズくらいのムーチーをくれたことを今でも覚えています^^

「しゅうやが作ったんだ~、食べてみようね」
とひらくと、そこには・・・

 

・・・

 

長細い白い物体が。

しばしの沈黙の中、
「これ、へび。」

 

創造力溢れる子供の頭の中に制限はありません。
こねて形つくる間にいろんなイメージが湧くんでしょうね。

その“へび”は、しばらくムスコのマイブームになっていました。
白玉粉でウチで団子を作るときも寄って来て
いろんなモチーフを生み出す中で、
“へび”は必須でしたから(▽//;)

 

みなさんのお子様は、どんなムーチーを作ってくるのかしら♡

SPONSORED LINK