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米の無関税 どう思う?

お米論
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日本の米

以前から課題となっているTPPでの米について、10日頃から
話題に挙がってきました。
コメ輸入、年7万トンまで 新無関税枠、TPP譲歩案

最大の懸案として残されているのは日本が設ける方向の主食用米の無関税輸入枠の扱い。
米国は輸入枠を年17万5000トン規模にするよう求めたのに対し、
日本は5万トンが限度と抵抗してきました。

ただ、米国はコメの扱いが日本にとって国内の反応が最も過敏な分野であることには
理解を示しており、現時点では「日本の許容範囲内で折り合えるのではないか」
との見通しが強まっているそうですが。。

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉を巡り、
日本が米国だけでなくオーストラリアに対しても、コメの無関税や
低関税の輸入枠拡大を検討していることが分かっています。

日本は現在、世界貿易機関(WTO)のルールに基づき、
年間77万トンの外国産米を無関税で輸入しています。
このうち、アメリカ産は約36万トン、オーストラリア産は数万トンで推移。
TPP交渉では、米国・豪州・ベトナムの各国が日本にコメ市場の拡大を要求してきているのです。

TPPと日本のお米

そもそも、TPPって一体何なのか?

TPPは「経済連携」や「パートナーシップ協定」という名前が示す通り、
単なる貿易協定ではありません。
人、モノ、お金などの移動を自由にして、経済を活発化させようという協定です。
だから取り決めは輸入品の関税だけでなく、知的財産権(著作権の保護期間など)や
金融などのサービス、一時入国の取り扱い、政府や企業との間で国際紛争が起きたときの
解決方法など、様々な分野に及ぶものです。

日本は2010年10月1日に民主党政権の菅直人首相(当時)が国会の所信表明演説で
「参加を検討」と表明しましたが、国内や党内の調整がつかずに正式な参加手続きが遅れ、
実際に交渉に参加しはじめたのは、自民党の安倍政権になってからの2013年7月だったのです。

■参加すると、どんないいことがあるのか?

安倍政権は、参加国の間で仮にすべての関税が撤廃された場合、
1年で差し引き3.2兆円の利益があると試算しています。
日本の自動車の輸出が好調になる半面、安い農産物が輸入されて農業への打撃は免れないとの計算です。

■なぜ難航しているのか?

一方、農業への打撃が予想されるため、農協などは強く反対してきました。
農村地帯の票の取り込みを狙った自民党は2012年の衆院選で「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、
TPP交渉参加に反対」と公約に掲げました。
自民・公明の与党は、守るべき「聖域」を農産物の重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の原料)と決め、2013年7月からの参加国間交渉に臨んだのです。

交渉で焦点になったのは、すべての関税撤廃を要求するアメリカに、
日本がどこまで譲歩し、取引するかでした。

日本のお米の良さを世界に広げたい

米に関する、各界の動き

・アイリスオーヤマ
生活用品大手のアイリスオーヤマ(仙台市)は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の
交渉妥結を見据え、海外へのコメの輸出を本格的に開始すると発表しています。
輸出するコメには、東日本大震災で被災した農家が生産したものも含まれ、
アイリスは「販路を広げることが復興支援につながる」と話しているとのことです。

高品質なコメを広く海外に売り込みたいとの狙いがあり、手始めとして
マレーシア向けにコメ18トンを日本から輸出。今後はほかの国へも拡大したい考えだそうです。

アイリスは震災後、東北の農業を支援するために、コメ流通事業に参入。
農業生産法人と共同で設立した「舞台アグリイノベーション」(仙台市)が
被災農家を含む東北や北海道などの契約農家から買い取った玄米を自社工場で精米、袋詰めしています。

・クボタ
「TPPにらみ日本の農業底上げ狙う」
国内最大手の農業機械メーカーのクボタは、日本の農家がつくったコメの海外開拓に動いています。

農家の国際競争力を高めて輸出増を促すことで、農機関連ビジネスの底上げを図るのが狙い。

日本が参加している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉では
農林水産品の関税撤廃も議論され、一方で高齢化の進展で農業従事者の減少が続いています。
農機メーカーが農家の体質強化を本格支援する動きは、日本の農業の未来に“突破口”を開く可能性も
秘めているとの考えだとか。

日本米の輸出量は右肩上がりで伸びています。
農林水産省の調査によると、2006年は967トンだったのですが、
12年は2.3倍の2202トンに拡大しています。

現在、輸出の大半は、日本で精米したコメを輸送し現地で販売する方式。
この場合、時間とともに鮮度が落ちるため、本来の味を現地で再現することは難しい。
そのことから、クボタの海外開拓の手法は、ただ米を輸出するのではなく
精米機の導入で精米仕立ての新鮮さを持つ「米」としての価値も同時に高めているようです。

日本の米農家と世界情勢

米無関税でのメリット、デメリットは何か?

TPPとは?
またそれに関する各界の動きも垣間見えてきているのですが、
では、いったいメリット・デメリットは何なのでしょうか?

少し考えてみました。

■メリット
・消費者は価格の安い米を買える。
・今まで、米農家を支えていた税金負担がなくなる。

■デメリット
・米農家の衰退
→水田地帯の過疎化
→一極集中型

・緊急時の(戦争や不作)米の確保の問題。

簡単に言うとこのようなものではないでしょうか。

失われた農家の雇用はどこへ?
税金投入を行うのか?

貿易収支の悪化?為替への影響?輸出産業への影響?

かつては政治家が農協など組織的な安定票をとれて、
10-20%程度人口のいた農家の支持を得るために、できるだけ保護していたのですが、
今や農家の人口なんて5-6%、農村組織はかなり崩壊が進んでいて今や票田とはいえないでしょう。

早い話、国内で米をつくる方が激減するということです。

カリフォルニア米(短粒種)を食べましたが、全然まずくないです。
タイ米とか東南アジアで主流のインディカ米(長粒種)は、白ご飯には適しませんが、
焼き飯とかには適しています。

また日本米より基本的に安いです。
一見消費者にとって良いことばかりです。

では、選挙用でも無いのに、なぜ関税撤廃が問題になるか?
デメリットを整理しましょう。

1)米が輸入商品になれば、小麦や大豆同様、大幅な価格変動が有ります。
①まず相場商品になるので、年単位で見れば気候変動や国際紛争などで、
平気で2-3倍は価格が変動するかもしれません。
②輸入が外貨建てなので、円高になれば安くなるし、円安になれば高くなるかもしれません。

2)供給の不安定。
数年前あったように、アメリカの大規模農家が小麦をやめてトウモロコシに換えたら
世界中で小麦が不足し、発展途上国では餓死者が続出したことがあります。
日本が大国だから売ってもらえる保証はないのです。

3)農村の荒廃
すでに始まっていますが、

①機械のローンを持ってる人が破産し、お金を貸していた金融機関の経営に悪影響を及ぼす可能性。

②経営が成り立たない以上、農地は管理放棄。
そこに住んでいる人は都会で暮らす収入がないので、生活が成り立たないまま
一種のスラムが形成。

③景観面では雄大な田園風景が荒廃し、環境面でも水田が日本の生態系に果たしてきたものが
大きなダメージを被る可能性。

④稲作は水の管理が命綱。
山奥から平地に至るまで、共同作業で、水路の管理が行われてきました。
これが維持されなくなってきてるので、最近の大洪水が起こっている面も有ります。

【コメの関税撤廃を支持する声】
・選択肢が増えることは喜ばしいこと。
アマゾンが農業ストアを開いたことで、プラットフォームを持たない中抜き業者は壊滅、
JAは縮小化へと進むでしょう。

・国の庇護のもと、一定の価格の維持し続けたツケが回ってきただけで、
自ら生産性の向上や海外市場展開を視野に入れたマーケティングをおこなうことで、
生き残ることができるのではないでしょうか。
そもそも、米の年間消費量が減り続けているのを消費者の米離れのせいにしていること自体、
米作に関わる方たちの認識が甘いのではないではないですか?

・外国から安価な商品が入ると、其の産業が全滅すると常に言う人がいます。
意見にさくらんぼが出ましたが、今でも山形のさくらんぼは信じられないほどの高値で
売られています。カルフォルニアオレンジが自由化されるとき、愛媛のみかん農家は
木を切り倒して抵抗しました。
が、今では過去を上回るほどの生産量を上げていると言われます。

【コメの関税撤廃に懐疑的な声】
・食品において一番重要視するべきは値段ではなく、安全です。
未だに産地偽装も日本国内で存在しています。
TPPの議論の中で食品の安全や品質にもう少し重点を置くべきです。
安ければよい、というのは安易な考えです。

・米を売ってくれているときはいいが、ある日突然売ってくれなくなったときの
対策及び保険はどうするの?

・単純にいって、主要な食料品を輸入に頼っていたら国として危ないでしょう。
TPPも自由貿易も、そんなのいつ崩壊するかわからないのですから。

・稲田の治水などは日本の生態系を支えていたりと派生的ですが大切な役割を持っているので、
国内の米が壊滅するというは日本独自の自然環境が崩れるということでもあるわけです。
そのような荒廃を防ぐためにTPPでは米に限らず、第一次生産物の関税を適正に引き上げ、
国内品と国外品を公平な値段でのスタートラインにする為の会合にすべきではないでしょうか。

日本のお米と日本の子ども

「米」に生きる

今後、確実に変化していく世の中の動き。
私達はどうした方がいいのでしょう?

メディアでは、相変わらず貿易関税の問題ばかり取り上げて、
TPPの本質である非関税障壁から目を逸らす報道ばかりです。

非関税障壁とは、各国特有の法制度、憲法、慣習、条例、教育、言語、知的財産、
行政サービスなどの事であり、多国籍企業はこの利権を狙っているという事実は
隠蔽したいと見る方も少なくありません。

現在、中間を通さず自分で販路を切り開く農家も増えてきています。
準じて中間業者は厳しくなってきています。
ただ、「米」や「農家」という観点からすると、
それは、自身の商品品質に自信があるということと
体質強化にもつながるものです。

そういう切り開くチカラを持つ方々が
日本の「米」を守り、「味」を伝えていくのだと考えています。

ドイツや中国、数々の国が「日本製の品質の良さ」をみとめ、
少々割高になるにも関わらず購入する消費者もいます。

「安いから」で飛びつく消費者もいれば、
「量より質」で戻ってくる消費者も必ずいるのですから。